更新日:2024年6月11日

新規融資の際に押さえておくべきポイント②
~ 信用保証協会と新規融資の関係 ~

目次

  • ● 金融機関から見た保証協会付融資の意味について
  • ● 信用保証協会の一般利用枠は8,000万円
  • ● 信用保証協会の別枠(別々枠)
  • ● 信用保証協会の格付け
  • ● 信用保証協会の保証対象

 中小企業の皆様、こんにちは。

 今回は、信用保証協会と新規融資の関係として、中小企業の皆様が押さえておくべき信用保証協会のポイントを解説いたします。

 金融機関担当者との会話において、「保証協会の●●制度を利用して・・・」といった内容が出てくると何を言っているのか分からなくなる社長様も多いかと存じます。実際の所、保証協会の制度を全て知っておく必要は無いですし、一般的な企業様であれば保証協会の担当者と面談することもあまり無いかと思われます。

 ただし、一定のポイントを押さえておくと、今後、自社が新規融資の際に保証協会を利用できるのかをある程度認識できるようになります。

金融機関から見た保証協会付融資の意味について

 前回のコラムにて、新規融資を受けるためには「正常先もしくは数年後に正常先になる要注意先」と金融機関から判断されなければならないと言及しました。記載内容に誤りは無いかと思いますが、要注意先・要管理先でも保証協会付であれば金融機関から新規融資を受けられる可能性はあります。(注1)

 金融機関から見た保証協会付融資は、融資先の債務者区分が要注意先・要管理先だとしても保証協会付融資部分については、正常先の会社への融資と同等に取り扱うことが出来ることにあります。(注2)

 金融機関から見れば、保証協会付融資であれば自動的に正常先への融資と同様に取り扱われるため、保証協会を積極的に利用する要因となります。

信用保証協会の一般利用枠は8,000万円

 1企業/個人等が利用できる信用保証協会の限度枠は8,000万円とご認識下さい。保証協会に担保を差し出せば限度枠は増加しますが、事例として多くないと思います。

この8,000万円の限度枠を金融機関担当者は一般枠という言葉で使用します。仮に、御社が8,000万円の保証協会付融資を全て利用している場合、一般枠が残っていないため金融機関から見れば保証協会付融資を使えないことになります。

なお、1企業/個人等の一般枠が8,000万円と記載しましたが、例えば、子会社が異なる県などにあり子会社独自で新たな8,000万円の一般枠を獲得できるかと言えば一般的には難しいと思います。代表者が同じなど1つの企業グループと判断されれば、新たな一般枠の獲得は難しいでしょう。

信用保証協会の別枠(別々枠)

 信用保証協会に一般枠は8,000万円ですが、政策目的により8,000万円に追加して保証を行う別枠制度が設けられています。

 別枠の政策目的とは「経営改善」、「事業承継」などが挙げられます。私が専門とする「経営改善」については、「経営改善サポート保証」という制度が有名であり事業計画作成・経営サポート会議の実施などの条件を満たせば、最大8,000万円の別枠が設定可能です。都道府県によっては、最大2億円の別枠が設定可能というところもあるようです。

話がややこしくなるのですが、新型コロナウィルス蔓延時にセーフティーネット保証という別枠が設けられましたが、経営改善や事業承継の別枠とは異なる別枠であったようです。また、当時、セーフティーネット保証のみでは資金が充分でなかった事業者に対して、危機関連保証という別々枠が設定されました。

信用保証協会の格付け

 信用保証協会においても、保証対象先の企業を9つのランクに分けて管理しております。ランクが低いほど、融資の際にお支払する保証料が高くなります。

信用保証協会の保証対象

 信用保証協会は中小企業、小規模事業者を対象として保証行為を行いますが、経済産業省管轄下にあるため、農業などの業種は対象としておりません。

 本コラムでは、新規融資の際に押さえておくべきポイントとして「信用保証協会と新規融資の関係」について言及してきました。
 ①信用保証協会付融資は金融機関にとって是が非でも利用したい制度であること、②一般枠は8,000万円であること、③経営改善の政策目的では、事業計画策定や経営サポート会議の実施を条件として追加で8,000万円の別枠の利用が可能になること、が押さえて頂きたいポイントとなります。
 今後とも、中小企業の社長様に役立つ情報を定期的に配信していく予定です。

コラム①:新規融資の際に押さえておくべきポイント① ~ 債務者区分と新規融資の関係 ~

(注1)一般的に金融機関は要注意先・要管理先に対する融資を積極的に行いませんが、どうしても融資先に融資しなければならない際に保証協会付融資を志向します。

(注2)金融検査マニュアルが廃止となったため、保証協会付融資が正常先と同一であるかどうかは金融機関次第でありますが、同等レベルで取り扱われているものと推測します。