更新日:2024年9月20日

近畿7府県の人口動態推移と中小企業経営を考える
~ 兵庫県編 ~

目次

  • ● 2020年の兵庫県7区分における人口および生産年齢人口の事実確認
  • ● 2035年における兵庫県7区分における人口推移
  • ● 2035年における兵庫県7区分における生産年齢人口推移
  • ● 兵庫県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 中小企業の皆様、こんにちは。

 前回のコラムにおいて、近畿7府県の人口動態について俯瞰しました。今回からは7府県別の人口動態を行政区分毎に見ていきたいと思います。本コラムは兵庫県編となります。

 使用したデータは、国立社会保障・人口問題研究所が公表する「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を参照しております。

 兵庫県は41市町の行政があるようであり、行政区分の分け方として、「阪神地区・播磨南東・北播丹波・播磨北西・播磨南西・北部・淡路島」の7区分に41市町を振り分けております。

2020年の兵庫県7区分における人口および生産年齢人口の事実確認

兵庫県人口

 2020年における7区分の人口および生産年齢人口を確認します。

 2020年の人口規模は、大阪エリアに近い「阪神、播磨南東」の人口が阪神:328万人、播磨南東:145万人となっており、兵庫県の人口546万人の86.6%を占めております。

 その他のエリアでは、播磨南西:19.5万人、北播丹波:15.9万人、北部:15.7万人、淡路島:12.7万人、播磨北西:9.1万人の順となっております。ただ、41市町の行政区分の振り分け方を変えれば人口規模の区分順位に変動はあるものと思われます。

 生産年齢人口の7区分別の動態についても、人口と同様の傾向となります。

2035年における兵庫県7区分における人口推移

兵庫人口2020 兵庫人口2035

 2035年における人口を見ると、「阪神・播磨南東」の人口が阪神:304万人、播磨南東:133万人となっており、2020年対比で阪神は92.8%、播磨南東は同91.7%となっております。

 その他のエリアでは、播磨南西:16.2万人(2020年対比83.2%)、北播丹波:12.8万人(同80.9%)、北部:12.1万人(同77.2%)、淡路島:10.2万人(同80.6%)、播磨北西:7.0万人(同77.2%)となります。

 図表において、日本全体の人口減少率である▲8.4%よりも人口減少が緩やかな市町を緑色でハイライトしておりますが、「阪神・播磨南東」の人口減少は兵庫県の中では緩やかであり、「その他のエリア」の人口減少率が兵庫県の中で高いことになります。この結果自体は多くの人の想像通りであると考えられ、兵庫県に限らず多くの都道府県で都市部以外の人口減少率が大きいと予想されます。

2035年における兵庫県7区分における生産年齢人口推移

兵庫生産2020 兵庫生産2035

 同様の比較を生産年齢人口でも実施すると、「阪神・播磨南東」の2035年生産年齢人口は2020年対比で88%超の水準です。「その他のエリア」は70~80%の水準となります。

 人口と生産年齢人口の減少傾向自体に大きな差異は無いと見られますが、強いて言及するとすれば、阪神地区の都市部である神戸市・宝塚市・芦屋市の生産年齢人口の減少率がやや高いかなという点です。日本全体の生産年齢人口の減少率が▲10.4%のため、日本全体を上回るペースで減少します。

兵庫県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 本コラムの目的は、前回のコラムで記載した近畿7府県の人手不足の状況がより深刻化する状況につき、兵庫県の市町にまで落とし込んだ具体的な数値を把握することにありました。そして、中小企業様が取るべき経営戦略として、人手不足の問題を回避するための事業戦略・経営戦略に方向転換していく必要性が高まることに変わりありません。

 兵庫県だけに留まらないと思いますが、阪神・播磨南東などの都市部でないその他エリアの人口および生産年齢人口の減少率は高いため、その他エリアで活躍される中小企業様におかれましては、人手不足の問題に留まらず地域経済収縮への打開策として商圏拡大や都市部を顧客に持つ得意先開拓などの需要拡大に舵を切る思い切った方針転換の意志が重要になると考えております。