更新日:2024年10月30日

近畿7府県の人口動態推移と中小企業経営を考える
~ 和歌山県編 ~

目次

  • ● 2020年の和歌山県4区分における人口および生産年齢人口の事実確認
  • ● 2035年における和歌山県4区分における人口推移
  • ● 2035年における和歌山県4区分における生産年齢人口推移
  • ● 和歌山県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 中小企業の皆様、こんにちは。

 近畿7府県の人口動態について、今回は和歌山県編となります。

 使用したデータは、国立社会保障・人口問題研究所が公表する「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を参照しております。

 和歌山県は30市町の行政があるようであり、行政区分の分け方として、「紀北、紀中、田辺・西牟婁、新宮・東牟婁」の4区分に30市町を振り分けております。

2020年の和歌山県4区分における人口および生産年齢人口の事実確認

京都府人口

 2020年における4区分の人口および生産年齢人口を確認します。

 2020年の和歌山県の人口規模は、紀北:60.9万人、紀中:14.1万人、田辺・西牟婁:10.9万人、新宮・東牟婁:6.1万人となっており、和歌山県全体の人口92.2万人の66.1%が紀北、15.4%が紀中の北部に集中しております。

 南部は、田辺・西牟婁、新宮・東牟婁の人口合計が17.0万人であり、おそらく山間部が多く観光産業や農業・漁業などが中心と想像されます。

 次に、生産年齢人口について見てみます。

 2020年の生産年齢人口は紀北:34.3万人、紀中:7.6万人、田辺・西牟婁:5.8万人、新宮・東牟婁:2.9万人となっております。

 これまで見てきた、兵庫県、京都府、大阪府と比べると、和歌山県の生産年齢人口/人口が51.8%と低い状況にあり、2020年において既に少子高齢化の影響が高い点に特徴があります。

2035年における和歌山県4区分における人口推移

兵庫人口2020 兵庫人口2035

 2035年における人口を見ると、紀北が52.9万人(2020年対比86.8%)、紀中:11.3万人(同80.2%)、田辺・西牟婁:8.8万人(同81.5%)、新宮・東牟婁:4.5万人(同74.2%)となり、人口比率が高い紀北や紀中においても減少率が日本全国の平均▲8.2%を大きく上回っております。

 個別市町村で見ると、紀北の岩出市が2035年5.1万人で2020年対比95.1%、紀中の日高町が同0.74万人で96.5%、田辺・西牟婁の上富田町が同1.4万人で94.5%であり、人口減少率に歯止めを掛けている市町村もありますが、その他27市町村の人口減少率は高くなっております。最大都市である和歌山市は同32.0万人で89.9%であり、和歌山市の人口減少率は上記3市町以外では最も低くなっております。

2035年における和歌山県4区分における生産年齢人口推移

兵庫生産2020 兵庫生産2035

 2035年における生産年齢人口を見ると、紀北が28.3万人(2020年対比82.4%)、紀中:5.7万人(同74.9%)、田辺・西牟婁:4.4万人(同75.6%)、新宮・東牟婁:2.0万人(同69.2%)となります。

和歌山県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 本コラムの目的は、和歌山県の人手不足の状況を市町にまで落とし込んだ具体的な数値から把握することにありました。

 和歌山県の人口および生産年齢人口の分布は、紀北および紀中が和歌山県全体の80%以上を占めており、大阪府に近い北部へ集中しております。南部の田辺・西牟婁、新宮・東牟婁は広大な面積の中で人口自体が既に十数万人程度となっております。

 和歌山県については、2035年の人口および生産年齢人口の減少率が近畿7府県で最も高いことに加え、2020年時点で生産年齢人口/人口が51.8%と低い水準にあり、近畿7府県のなかでも少子高齢化の影響が最も早く進んでいる自治体と想像できます。

 そのため、和歌山県の中小企業様は人材不足や少子高齢化の市場縮小の問題に直面され、業績改善に向けた打開策を既に講じられていると思われます。

 ただ、今後とも地域経済の縮小が続くことを考慮すると、コスト削減だけでは対応できないことが多くなると思われますので、既存事業に対応していた人員を縮小し、新たな市場にアクセスする人員配置を行うなど大胆な経営戦略の見直しと新たなことを実行する勇気が必要だと感じております。