更新日:2024年11月8日

近畿7府県の人口動態推移と中小企業経営を考える
~ 奈良県編 ~

目次

  • ● 2020年の奈良県5区分における人口および生産年齢人口の事実確認
  • ● 2035年における奈良県5区分における人口推移
  • ● 2035年における奈良県5区分における生産年齢人口推移
  • ● 奈良県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 中小企業の皆様、こんにちは。

 近畿7府県の人口動態について、今回は奈良県編となります。

 使用したデータは、国立社会保障・人口問題研究所が公表する「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を参照しております。

 奈良県は39市町村の行政があるようであり、行政区分の分け方として、「北西部、五条・北部吉野、北東部、南東部、南西部」の5区分に39市町を振り分けております。

 結論から言えば、大阪府に近い北西部の一部の市町については人口および生産年齢人口の減少率は緩やかであるが、北西部を含めて全体として減少率が高いことにあります。

2020年の奈良県5区分における人口および生産年齢人口の事実確認

奈良県人口

 2020年における5区分の人口および生産年齢人口を確認します。

 2020年の奈良県の人口規模は、北西部:122万人、五条・北部吉野:5.5万人、北東部:3.1万人、南東部:0.8万人、南西部:0.3万人となっており、奈良県全体の人口132.4万人の92.5%が北西部に集中しております。

 といっても、北西部は23市町村ありますので、区分けとしては大きめの区分に当たると思われます。2020年の10万人以上の都市は、奈良市:35.4万人、橿原市:12.0万人、生駒市:11.6万人の3市となります。

 次に、生産年齢人口について見てみます。

 2020年の生産年齢人口は、北西部:70万人、五条・北部吉野:2.8万人、北東部:1.5万人、南東部:0.3万人、南西部:0.1万人となっております。

2035年における奈良県5区分における人口推移

奈良人口2020 奈良人口2035

 2035年における人口を見ると、北西部が108万人(2020年対比88.4%)、五条・北部吉野:3.8万人(同69.2%)、北東部:2.1万人(同69.2%)、南東部:0.5万人(同59.8%)、南西部:0.2万人(同67.8%)となり、北西部以外では70%割れとなります。

 北西部の個別市町村で見ると、王寺町、葛城市、広陵町、香芝市、三郷町、生駒市、斑鳩町の7市町の人口は、2020年対比で92%以上であり、日本全国の減少率▲8.2%を下回っております。上記7市町につき、広陵町を除く6市町が大阪府と接しております。

 最大都市の奈良市は31.7万人と2020年対比89.6%となっております。地図を見る限り、奈良市自体が広そうであり、奈良市中心部の人口は大きく減少しないと推測されるのですが、中心部以外の人口減少率が高いのだろうと想像します。

2035年における奈良県5区分における生産年齢人口推移

奈良生産2020 奈良生産2035

 2035年における生産年齢人口を見ると、北西部が58.0万人(2020年対比82.8%)、五条・北部吉野:1.6万人(同56.7%)、北東部:0.9万人(同60.6%)、南東部:0.1万人(同51.7%)、南西部:0.1万人(同67.9%)となります。

 人口減少率が低い北西部の王寺町、葛城市、広陵町、香芝市、三郷町、生駒市、斑鳩町のうち、生駒市を除く6市町の生産年齢人口は日本全国の減少率を下回っております。

奈良県における人口および生産年齢人口減少に関するまとめ

 本コラムの目的は、奈良県の人手不足の状況を市町にまで落とし込んだ具体的な数値から把握することにありました。

 奈良県の特徴として、大阪府・京都府に近い北西部に人口が集中しており、なかでも大阪府に接する市町の人口および生産年齢人口の減少率は日本全国の減少率よりも低いことにあります。但し、最大都市の奈良市を含めた北西部全体の人口および生産年齢人口の減少率は日本全国の減少率よりも高くなるため、人手不足への対応を含めた中小企業様の経営戦略の軌道修正が求められることに変わりありません。